翻訳現場でのアレコレを綴ります

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「お疲れさま」の使い方

以前、海外のダンスパフォーマンスが行われた後、
レセプションの場で、進行係の方が演技者に
「お疲れさまでした」と話しかけ、通訳に窮した経験があります。

“Thank you very much.”といってその場をしのいだように記憶しています。

「お疲れさまでした」をそのまま”You must be tired.”
(お疲れのことと思います)にしたのでは、違和感があります。

たぶん”Thank you very much for your wonderful performance.”
(すばらしいパフォーマンスをありがとうございます)
くらいが妥当だったように思います。

この「お疲れさま(でした)」は、日本ではいろいろな場面でよく使われます。

仕事が終わって帰社する時、
また、同僚や部下に仕事をしてもらった後など。

日本語は同じ「お疲れさま」でも
英語では状況や相手によって言い方はさまざまです。

仕事が終わって帰社する時:
See you tomorrow. Have a nice weekend. など

同僚や部下に仕事をしてもらった後:
Thanks a lot for all the work you’ve done.*1
Thanks a lot, that was a great help.*2 など

「お疲れさま」という表現は、日本語の場合も、使い方に注意が必要です。

若い人がよく目上の人や上司にも「お疲れさま」や「ご苦労さま」
ということばを使っているのを耳にしますが、
本来「お疲れさま」や「ご苦労さま」は労をねぎらうという行為から出たもので、
目上の者が部下などの目下の者に使う表現です。

しかし、近年、特に若い人は目上の人にも「お疲れさま」と言っている人が多く、
研修会の冒頭で「お疲れさまです」と挨拶することもあるくらいです。

英語の場合、上記(*1、*2)のような表現を上司に言うのはおかしいです。
なぜなら、自分がその仕事を管理しているような意味合いになるからです。

日本語は曖昧で、使い方も時代とともに変わることが多いのですが、
外国語の場合、使い方を間違えると誤解されたり、
相手を不快にさせることにもなるので気をつけましょう。

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